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ヤンマー、農機修理にビッグデータ活用  :日本経済新聞

ヤンマーが農機に「スマートアシスト」と呼ばれる遠隔監視システムを使ってビッグデータを活用し、メンテナンスの領域で効果を上げています。
こういった遠隔監視の実装は、コマツのKOMTRAXに代表されるように建設機械ではほぼデファクトとなっていますが、農機への適用はまだまだこれからといった状況です。その意味でヤンマーの取り組みは農業におけるM2Mとしてはかなり先行している事例だと言えると思います。

驚きの迅速対応 ヤンマー、農機修理にビッグデータ活用  :日本経済新聞.

日経新聞の記事のタイトルにあるように、メンテナンス対応を迅速に行えるという、いわゆる遠隔監視の教科書通りの使い方や盗難防止にも役立つという特長はもちろんですが、ここでは以下の3点に注目してみたいと思います。

  1. 顧客(エンドユーザー)との関係性の強化
  2. データ主導型の提案活動が可能
  3. 既存メンテナンス事業者との共存の可能性


1.顧客(エンドユーザー)との関係性の強化
記事にもあるように、農機にはいわゆる自動車の車検にあたるようなものはありません。従って農機メーカーは機械が売れてしまえば、ある意味顧客との繋がりは絶たれてしまいます。その結果、ユーザーの利用状況は掴めず、市場の声も中々集まらないというのが現状です。つまりユーザーに本当に必要とされる機能を把握する事は困難で、かつ実装した機能が本当に使われているかどうかといったデータも収集できません。また機械の状態を適切に把握した上で、エンドユーザーの買い替え需要を掴むといった販売促進的な活動も行えないため、販売機会の損失に繋がるなどの弊害もあります。

しかしM2Mを活用し稼働データを収集できるようになれば、これらの問題の多くは解決可能です。一般的にM2Mの効果としては、メンテナンスの効率化などが一番に挙げられることが多いのですが、顧客との関係性強化が期待できることから、これまで起きていた販売機会の損失をリ回避して、売上の向上に繋げるといった効果が期待できるのも、M2Mの理想的な活用方法と言えるでしょう。

2. データ主導型の提案活動が可能
農機は、自動車のように車検の前に買い替え需要が増加するわけではありません。また減価償却という意味で見た農機の耐用年数は、例えば稲刈り用のコンバインで7年とされているのですが、高いもので1000万円を超えるような農機を7年毎に買い換えるのかというと、決してそんなことはありません。実際には10年~15年程度は使用されるものですし、農業従事者としても高い買い物ですから、できるだけ長く使いたいというのが本音でしょう。

ヤンマーがスマートアシストを導入する狙いは、稼働データをきちんとデータ化して、最適なメンテナンスを提供することで製品寿命を伸ばし、顧客をしっかりと囲い込むことで、保守部材等やサービスを含めた製品ライフサイクル全体で収益を上げていく事でしょう。スマートアシストによって、農機の稼働データを収集・分析し、これまで勘や経験に頼っていた営業活動を、データ主導型に移行させることが可能になります。農機の利用は国毎、地域毎に様々でしょうから、こういった稼働データを多く収集分析することで、何か面白い化学反応が起きるのではないかと期待してます。

3. 既存メンテナンス事業者との共存の可能性
「三方良し」という言葉があります。売り手よし、買い手よし、世間よしという、近江商人の商売の理念を表した言葉と言われています。売り手はもちろんヤンマー。買い手は農家。そして世間はそれ以外の農機にまつわるステークホルダーとしておきます。この点スマートアシストには少し気になる点があります。以下の記述。

これまで町工場などに持ち込まれていた修理需要を獲得できれば、サポートビジネスの収益拡大につながる

ヤンマーはスマートアシストを導入することで、これまで地域の町工場が担っていた修理の需要を取り込んで、収益拡大を狙っているということですね。つまりここで見込まれるサポートビジネスの収益はこれまで地域の町工場が得ていたものです。農機の修理を専門とするような工場もありますが、スマートアシストによってその存在が脅かされる可能性が生じるわけです。

持続的な成長は企業の宿命とはいえ、メーカーが個々の農機の修理需要を獲得して収益を増大させようとする一方で、少なからず影響を受ける町工場が相当あるだろうことは想像に難くないです。この点、大阪を拠点とするヤンマーさんには、三方良しの精神で何らかのスキームを構築して欲しいなぁなんて思います。スマートアシストの導入によって、既存のパイを奪うのではなく、何か「新たな」収益構造を創造するのが理想ですね。

ともあれ、農機向けM2Mのスマートアシストがこのような効果を上げられることが示された今、この分野でのM2M導入が一層加速することは期待できると思います。

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