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M2Mは海上コンテナ車両の待機時間を短縮できるか

東京都のトラック協会が、東京港のコンテナターミナルでの海上コンテナ車両の待機時間調査を実施し、結果をまとめました。調査期間は約2週間。調査対象のコンテナ本数は9,907本。

東京港、待機時間1時間超のコンテナターミナルが91%

これによると、調査対象の12箇所のうち、11箇所で待機時間が1時間以上となっており、そのうち2ヶ所では2時間を超えています。

下記は、その結果をまとめたPDFファイルへのリンクです。
■コンテナターミナル別待機時間(東京都トラック協会)
http://www.totokyo.or.jp/management/topics/file/kontenafutou/taikijikanchousakekka/h

海上コンテナは、まずトラックでコンテナを港に運びます。その際必ずゲートを通ってコンテナヤード内へ侵入しなければなりません。国際物流が行われる場なので、ヤード内には保税区などがあり、モノの出入りは厳重に管理されています。そのゲートを通るのに、1時間〜2時間、場合によっては4時間も待機しなければならない場合もあるといいます。

2週間で9,907本のうち9割超が1時間以上待機するわけですから、実に約9,000時間以上ムダになっているわけです。ドライバーの時給や燃料費など変数があるのではっきりした損失額は分かりませんが、安く見積もって大雑把に1時間で約2,000円のコストが掛かると想定すると、2週間で約1,800万円の損失です。年間にすると実に約9億円が失われている計算になります。安く見積もってこれです。果たしてこれをM2Mで解消できるかという簡単な思考をしてみようというのが、今日の狙いです。

コンテナターミナルには通常ターミナル・オペレーション・システム(TOS)が導入されています。ゲートインから、コンテナのロケーション、本線のスケジュールに合わせたコンテナ配置の最適化、コンテナ搬送車への指示や管理、ゲートアウトなどなど、ターミナルオペレーションのあらゆることを管理するシステムです。

このシステムは「ターミナル内」のオペレーションを捌くのには長けていますが、「ターミナル外」の事象を取り込むことは通常できません。従っていつどんな荷を積んだ仕向地がどこのコンテナが、誰によって持ち込まれるかといった情報はTOSからは見えません。つまり外の世界と中の世界が分断されてしまっているということですね。

このギャップをM2Mで解消できれば、ひょっとするとコンテナ車両の待機時間の問題は少しでも解消できるのでは?

カリフォルニアのロングビーチ港では、地元のトラック協会からアクティブRFIDのタグが、所属のトラックに支給されていると聞きます。そして港のゲートの数km前に、プレゲートのようなものを設置して、そこを通ったトラックの情報がTOSに飛びます。トラックが本ゲートを通過する際には既にTOSで荷の情報が把握されているので、ゲート通過時にはヤード内の行き先が車載端末のモニターに表示され(あるいはKIOSK端末から行き先を印字した紙が発行され)、トラックはその指示に従って適切な作業を行います。

これを実現するには、ゲートが自動化されている必要があるのですが、日本国内のゲートの殆どは未だに有人ゲートです(少なくとも数年前までは)。色々理由はあるようですが、コンテナの封印を目視で確認しなければならないなどの理由が主な要因と聞いています。電車の自動改札 vs 職員に荷物チェックされる空港の有人改札 くらいの違いがあると言えます。

待機時間を減らすには、ロングビーチの例のようなM2Mフリート管理の導入だけではなく、ゲート作業を含めたTOSの処理能力の向上も欠かせません。しかしトラックで運ばれる荷の可視化を実現することは、少なくともこの問題を解消するはじめの一歩ではないかなと思います。M2M導入によるフリートの可視化を実現し、その情報を各事業者で共有できる仕組みがあれば、荷の性質によっては混雑時間を避けて運び入れるなどの回避策もとり得るかもしれません。そして「ターミナル外」の情報をうまくTOSに取り込む仕組みを用意すれば、より効率的なオペレーションが実現できるのではないか。

そのコストを誰が負担するか。ロングビーチでは、アクティブタグのコストはトラック協会の負担だと聞きました。渋滞を緩和することは社会全体の利益にも繋がりますので、より公共色の強い投資と言えます。東京港においても、協会、あるいは都が主導してこの待機時間を短縮する投資を始めてみてはどうだろうか。どこか一社だけこういったソリューションを導入したところで、多勢に無勢で費用の割に上げられる効果は限定的でしょう。重要なのは全体として導入していくことです。

カーゴニュースによると、待機時間の解消を施設能力の拡充を図ることで実現しようとしているそうです。お得意のハコモノ投資からの力技の解決策ですが、あまりスマートとは言えませんね。M2Mを起点とした、システム全体のスマート化でこの問題はかなり好転するのではと考えています。

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