m2m box

M2M/IoTの情報プラットフォーム

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M2MはIoTの夢を見る(1/2)

M2Mは夢を見ていた。

あらゆるモノがインターネットに繋がり、情報を自律的にやり取りし、そして機械は自身を単なる「マシン」ではなく、「ソーシャルマシン」であると定義する世界の夢を。

その世界では互いに繋がったマシンが自らソーシャルネットワークに参加し、アイデンティティを持ち、もはやネットワーク上では人なのか機械なのか区別することは不可能だし、区別する必要性も無い。そんな世界だった。

誰もが、そう、機械であろうが自動車であろうが、家であろうが人であろうが、あらゆるものが IoT (Internet of Things) のもたらす豊かで先進的な生活を享受していた。

しかしそこにM2Mの姿はない。かつてM2Mが立っていたステージには今、IoTが立っている。
そんな折、あるオフィスから若い社員とベテラン社員の会話が聞こえてきた。

「部長、そういや昔M2Mってのありましたよね?」

「そうだね。私がまだ駆け出しだった頃は、これからはM2Mの時代だって随分言われてたものだよ」

「へぇ~、そうだったんですか!で、M2Mって何の略です?マウス・トゥー・マウスですか?」

「バカ言うな(笑)。マシン・トゥー・マシンだ。機械に通信機能を付けて自動的にログの収集したり遠隔監視したりするための要素技術の集まりみたいなもんだな」

「うわ、何かつまんないですね」

「まぁIoTと比べると、地味っぽいのは否めないな。今じゃあらゆるモノが繋がるだけじゃなくてソーシャル化される IoT 一色だもんな。時代はIoTだよ、完全に」

隆盛を極めたM2Mにかつての輝きはなく、放たれているのは、鈍い光だけだった。

ハッと目を覚ましたM2Mは、枕を濡らして虚空を見つめる。「ちくしょう、俺を踏み台にしやがって……」震える声でM2Mはそうつぶやいた。見ていた夢は、現実だった。

コンコン
ドアをノックする音が聞こえる。一体誰がこんな時代遅れの俺に用があるってんだ?新聞なら取らないぜ。IoTばかり取り上げる記事なんて誰が……

コンコンコン
まったくしつこい野郎だ。一人で朽ち果てることさえできないのか……

コンコンコン
「M2Mいる?」

「え、誰?」
「オレオレ、IoTだよ。近くまで来たから、元気かなと思ってさ」
(IoT……だと?)
「ちょっと久しぶりに顔でも見たいなぁと思ったんだけど、忙しい?」
「あ、ああ。ちょっと待って。今開けるから」

時代遅れの俺が忙しいわけ無いだろう、と小さくつぶやきながらドアを開けた。
ガチャ。
そこにはまばゆいばかりの光に包まれたIoTが立っていた。それはまるで仏の後光のようで、表情は読み取れなかった。

「久しぶり、M2M。元気にしてた?最近見ないから心配してたんだよ。」

部屋に上がったIoTは、開口一番にM2Mの様子を気遣ってみせた。

「あ、ああ。まぁ何とかうまくやってるよ。」

嘘だ。本当は何ともなっていないのに。毎日IoTへの嫉妬で気が狂いそうなのに。悔しさで枕を濡らす日もあるのに。でもそんなことは言えるわけがない。今の時代を築いたのはこの俺だというプライドが、雨にびっしょり濡れた服のように重く、冷たく、身体にまとわりついてくる。早く脱いでしまいたいのに……

しかし飛ぶ鳥を落とす勢いのIoTが、こんな落ちぶれたM2Mに一体何の用があるのか。まさか惨めな様子を笑いに来たのか?

「ど、どうしたの、急に?」
「いや、これと言って用事はないんだけど、うん。まぁ、何となくさ」

IoTの明るさに少し目が慣れてきた頃、ようやくその表情が見えた。そこには、気のせいだろうか、少し陰りが見えた気がした。

(つづく)

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