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日本で初めてのUBIがリリース

UBIという言葉を聞いたことはあるでしょうか?

Usage Based Insurance といって、主に自動車保険において、ドライバーの運転の仕方に応じて保険料を決定するという、比較的新しいタイプの保険で、M2Mの応用領域として注目されている分野でもあります。

走った距離(たいてい自己申告)によって保険料が変わるという自動車保険はよくありますが、ドライバーの「走り方」を考慮してそれを保険料に反映するという仕組みは、海外では少しずつ普及しているものの、日本ではまだ馴染みの薄いものでした。

M2Mの枠組みを使えば、今ドライバーがどれくらいのスピードで走っているか、急発進や急ブレーキは多いか、急ハンドルを切ることはどれくらいあるか、安全運転をしているか、などのデータを自動的に収集して、保険会社のサーバーに時々刻々と蓄積し、それを分析した上で、適切な保険料をドライバーに課すというようなビジネスモデルが実現可能になるわけです。

一般的に運転が丁寧で上手な人は事故を起こす確率も少ないですし(今回その相関関係が確認されたそうです)、逆であればその確率が上がるのはほぼ自明と言ってもいいかもしれませんから、ドライバー特性によって保険料金に差をつけるというのは、ある意味極めてフェアな仕組みだと言えます。それが日本で普及しない理由は後述しますが、しかしようやく日本のUBI第一号と言えるサービスが先日発表されました。

日本初!(*1)「やさしい運転」で保険料が戻る新しいタイプの自動車保険「やさしい運転キャッシュバック型」を2015年2月中旬に販売開始

これはオプテックスソニー損保が共同開発した「ドライブカウンタ」と呼ばれる小さな計測器を自動車に搭載し、そのスコアが一定以上であれば(安全運転だとスコアが高くなる仕組み)保険料金がキャッシュバックされるというものです。

ただこれには通信機能が搭載されていませんので、運転データをソニー損保に送るためには、所定の計測期間を満たした後に、専用のウェブページから計測結果を申告する必要があります。ドライブカウンタに「申告コード」というものが表示されるそうなので、それを入れれば委細分かるようになっている模様です。

日本という特殊な市場において、このような新しい取り組みがスタートしたことは大いに評価されるべきことだと思います。

しかし欲を言えば、これにはやはり通信機能を付けて、データの吸い上げは自動的にやって欲しかった。M2M的には特にそう思います。自分が入っている保険なんて、正直何かが起きるまであまり気にしないというのが、普通の人の感覚じゃないでしょうか。その状況において、(1)専用のウェブページにログインして、(2)運転スコアの申告コードを手入力して、(3)さらにキャッシュバックの申請も行い、(4)計測終了後はドライブカウンタをソニー損保に返送し、(5)ソニー損保はデータを読み込んで診断レポートを作成。という一連の流れは、決してUBI導入を促進するどころか、逆に阻害要因にすらなってしまうのではないかと危惧します。

m2mbox的には、一日も早いドライブカウンタの通信機能搭載版の登場を切望しています。

とは言え、この商品はこれまで日本市場では固く閉ざされていたUBIの扉をこじ開けたという意味においてだけでも、賞賛に値するものだと思います。1を1.5に「カイゼン」することは簡単でも、0から1を新たに生み出すのは決して簡単なことではないですから。

さて、日本市場でなぜUBIが生まれなかったのか。
これは日本における保険の流通形態に大きな要因があります。保険商品の実に約93%程度がいわゆる保険代理店と呼ばれる事業者を通じて販売されているそうです。保険会社が開発した保険商品を保険会社に代わってエンドユーザーに販売するわけです。ある意味画一化された製品の大量販売を目指すモデルと言えるでしょうか。UBIは一方で、個々のドライバーの運転状況を収集分析し、個別にかつ動的に料金を決定しますので、代理店販売のモデルとは共存しにくいと言えます(この辺り間違っていたりしたらご意見下さい)。

なわけで、ある意味現時点での日本のUBIは、残りの7%の部分でしか商売できない形になっていて、市場としてはあまり魅力的とは言い難い。その上ソニー損保のように、ネットで直接販売しているような事業者に限定されるので、現時点ではあまりスケールするソリューションとは言い難いマーケットではあります。

しかし、安全運転をするユーザーや、あまり運転しないユーザーにとって、UBIは魅力的な選択です。これを機に、日本でももっと普及が進むことを大いに期待しています。

ではまた。

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