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Swisscom がフリート管理に参入 | M2M World News

スイスのモバイルキャリアであるswisscom社がM2Mベースのフリート管理に参入というニュースです。

Swisscom launches M2M fleet telematics solution | M2M World News.

狙いとしては、テレマティクスを導入することで車両の稼動状態を可視化し、最適なオペレーションを実現して、燃料コストや温暖化ガスの削減を目指すというもの。しかし本ブログで強調したいのはそういう事ではありません。

ここで注目したいのは、モバイルキャリア自らががテレマティクスサービスの一つであるフリート管理ソリューションを提供するという点。

M2Mのバリュー・チェーン全体をザッと見渡すと、おカネの割振りは大体以下のような割合になっていると言われています。

デバイス:27%
通信:14%
アプリケーション:59%

おお、通信の割合が一番小さいですね。意外でしたか?
先日のエントリー(「モバイル事業者はM2Mに備えよ」)でも少しご紹介していますが、今後爆発的に伸びると予測されているM2Mの世界においては、モバイルキャリアの設備投資負担は右肩上がりに増加すると見られています。しかし一方で、M2Mにおいては各々のデバイスのARPUが極めて小さいため、通信サービスだけ提供しているとジリ貧になるのは明白です。

そこで、モバイルキャリアが目指すのがバリュー・チェーンの拡大です。特に上のレイヤーに向けて拡大していく傾向が強くあります。スイスコムも通信+テレマティクスソリューションを提供することで、M2Mバリュー・チェーンの7割強を抑えようという意図があるわけです。

この傾向は、大きく分けて2つの形で現れることが多いように思います。
一つはこの事例のようにキャリア自身が何かサービスを提供する形。もう一つはキャリアがソリューションベンダーを買収する形。

キャリアがソリューションベンダーを買収してバリュー・チェーンを補強した事例としては、米国のベライゾンがヒューズテレマティクス社を買収した例や、最近ではVodafoneがイタリアのコブラテレマティクス社を買収した事例などが思い浮かびます。

両社ともテレマティクス系のソリューションベンダーを買収しているところは注目すべき点でしょう。

筆者は常々、キャリアが主導するM2Mというモデルは消滅すると述べていますが、恐らくどのキャリアも危機感を抱いているのか、ソリューションに手を出す方向に向かっているようです。仮に通信キャリアで完全にワンストップでM2Mソリューションが提供できるようになれば、ユーザーにとっての利便性も上がりますし、今後も引き続きキャリアがM2Mを引っ張っていくという事も十分考えられます。キャリアの生き残り戦略として、ある一面では正しい方向だと思います。

しかし、別の一面を見てみると、果たして特定のキャリアに紐付いたテレマティクスサービスが、ユーザーに広く受け入れられるのかという懸念はあります。例えば前述のイタリアのコブラ社を例に取って考えてみます。コブラ社の顧客の多くは自動車メーカーです。自動車メーカーはコブラ社の製品やサービスを気に入って、自社のクルマに実装して、最終製品として販売しています。テレマティクスサービスの回線に関しては、自動車メーカーが独自に判断して選定します。ところがここに、買収によってボーダフォンという通信キャリアの回線が紐付きました。自動車メーカーにとっては、コブラ社を選択しているわけで、ボーダフォンを選択しているわけではありません。もちろん中にはボーダフォンを明示的に指名買いするメーカーもあるでしょうが、そうでないメーカーももちろん存在するでしょう。

通信キャリアがソリューションベンダーを手にすることで、新たに得られるビジネスもあれば、逆に失うビジネスもあるのではと推測します。

その意味で、キャリアが自らソリューションの提供に手を出すのは諸刃の刃と言えるかもしれません。餅は餅屋という言葉があるように、キャリアは土管を徹底的に磨き上げる、というのも有効な戦略ではないかとも思います。

ではまた。

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