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ウェアラブルが本格普及するにはあと5年ほど必要

近頃は猫も杓子もウェアラブルです。
かく言う私も、Misfit Wearable から出ている Shine という、睡眠と運動のトラッキングデバイスを右手首に常に着けています。

しかし個人的には、いわゆる巷で言うウェアラブルデバイスって中々定着しないんじゃないかなぁと思っています。

多分ですけど、人って「属性」みたいなものが重要で。属性って何かというと、例えばパソコンに向かって何か見たり打ち込んだりすること(仕事とかネットサーフィン)、健康のために泳ぐこと、同じく走ること、ケータイを耳にかざして電話すること、とか。それぞれにおいて、今自分は◯◯をしているんだという、タグ付けみたいなものだと思って下さい。そういう属性を外に向かって無意識に発露しています。周りの人も、ある意味共通化された属性のアイコンを見て、あぁあの人は今◯◯をしているのだなと認識します。そういう社会のコンセンサスみたいなのがあります。

ケータイが普及し始めて間もない頃、何やら一人で大声出しながら歩いている人を見かけてギョッとしたのをよく覚えています。うわ、ヤバイ人来た!って。当時はまだケータイで話すという行為が定着していなかったので、違和感が大きかったんだと思います。しかし今ではそんな光景珍しくもなんともないですから、歩きながら一人で喋ってる人を見れば、あぁケータイで電話してるんだなと分かります。

しかし同じケータイで会話する場合でもこれはどうでしょう。Bluetoothのヘッドセットとかイヤフォンを使って、ケータイを耳にかざさずに会話すること。これって両手が空いてすごく便利なんですが、あまり見かけませんね。なぜあまり定着しないかというと、これって今自分は電話しているんだというメッセージが外に向かって発信できない、あるいは電話していると認識されにくいからじゃないかと思います(もちろんそれだけじゃ無いでしょうが)。何か一人で喋ってる人いるなぁ。。。という、電話している人属性に見られにくいってのも、あんまり使われていない要因の一つにあるかなぁと思います。

これと同じように、何かブレスレット風のモノを真剣な顔して指でこする(メールやSNSのチェックなど)とか、スマートグラスに向かって何かブツブツ語りかけるとか、そういう行為はまだ属性としてしっかり定着してません。こういった新たな属性が確立するのにもう少し時間がかかるんじゃないかと。

その意味で、ウェアラブルとしてまず定着するのは、装着していても特に自分で操作する必要のないデバイスなんかではないかなと思います。スマホと連動して、データはスマホに表示されれば、「スマホ見る人」という属性は既に確立されていますから、普及の壁は限りなく低いのではないでしょうか。僕が装着しているShineなんかはこの類で、Shineをいじることはまずありません。たまにスマホとデータを同期して、あぁ運動不足だなとか、やっぱ週末はよく寝てるなとか、確認するだけです。

身につけてそれに対して何かアクションをするものは、普及に時間がかかると思います。言い換えれば、それをやる人という属性が確立されるのに、時間が必要であるということ。

携帯電話の普及に関して、総務省にこんなデータがあります。

移動体通信(携帯電話・PHS)の年度別人口普及率と契約数の推移

平成元年からの統計で、年次毎の人口普及率が記載されています。イノベーター理論によると、一般に「普及した」と言えるためには「アーリーマジョリティ」層以降の人たちに製品が受け入れられる必要があります(イノベーター理論の中身についてはここでは触れません)。携帯電話の場合それが起こったのは大体平成8年頃でした(いわゆる「キャズム」を越えた年)。多分この辺りから「携帯電話」が「ケータイ」に変わったんじゃないでしょうか。推測ですけど。

つまり、外で歩きながら自由に電話するという新たな行動の属性が市場に広く受け入れられるために、約8年ほどかかったということになります。結構長かったですね。

ウェアラブルはどうでしょう。あらゆるウェアラブルは段階としてはまだ「イノベーター」によってのみ使われている導入期と言えます。ケータイという言わばライフラインとして必要不可欠になったテクノロジーの普及に8年掛かったからといって、ウェアラブルがもっと掛かるとは思いません。価格的な要因とか社会インフラ的な要因など、多くの変数があるので、一概には比較できません。しかし人の行動が新たな「属性」として定着するためには、それなりの時間がかかると思います。一体どれくらいで定着するものなんでしょうね。

比較対象として適切かどうか分かりませんが、近年成長著しい「一人カラオケ(ヒトカラ)」が果たしてどれくらいで定着したのか調べてみました。ウィキペディアによると、ヒトカラ自体は2000年代の半ばあたりからチラホラ見られた行為だったようです。しかし一般的に普及したとは言えず、この段階でヒトカラを実践していたのは「イノベーター」と言えるでしょう。

ヒトカラ専門店などが登場して一般的にヒトカラという行為が認知されだしたのは、2011年頃からのようです。したがって2011年あたりからいわゆる「アーリー・マジョリティ」という層にもヒトカラが普及しだしたということでしょう。

こうしてみると、ヒトカラという行動が定着するために大体5〜6年の時間が必要だったと言えそうです。

これまでの話を総合してウェアラブルに話を戻すと、ウェアラブルによって新たな行動属性が定義される場合(例えばGoogle Glassとか)、それがマジョリティ層にまで普及するには恐らく5年ほど必要ではないかと。2020年頃ですかね。東京オリンピックをスマートグラスを装着しながら観戦するとか。あの選手だれだろう?みたいな情報が、視線をスマホに移動させずに得られる。なかなか良さそうですね。しかし一方で、Shineのようにただ身につけて、データはスマホと同期するといったようなもの、例えばヘルスケアとかフィットネス系のウェアラブルは、アーリーアダプター層に既に普及が始まっていますから、あとはキャズムを超えるのはいつ頃かだけ。テレビCMなんかでも少し見かけるようになってきましたから、これはもう今年・来年あたりだろうと思います。

そんなわけで、巷で色々騒がしいウェアラブルについて少し書いてみました。

ではまた。

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