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M2M講座 第8回 – 日本のM2M業界の歴史を考察する(5)

みなさん、こんにちは。M2M Masterです。
M2Mの業界の歴史を考察するシリーズとしては最終回として、現在の日本のM2M業界の姿を記載したいと思います。年末から年始にかけてアップしました2014年の10大ニュースや2015年の大予想と重複する内容もありますが、まずはご覧ください。
前回の講座はこちらになります。
また、M2M講座の目次はこちらになります。

7. そして現在のM2M業界の状況

7.1 『事業主体』のトレンド
M2Mシステムのユーザである『事業主体』となる企業側には、現状で3つの力が働いている。
○海外の競合企業のM2M導入の流れ-海外では2011年ごろからM2Mの普及が拡大し始めた。海外企業と競合関係にある日本企業にとっては、競争上の観点でM2Mの導入意欲が高まっている
○M2Mシステム導入に関するハードルが下がる-システムインテグレータによるワンストップソリューションが多く現れることにより、ユーザ企業にとってはM2Mシステムの導入のハードルが下がっている
○将来のビッグデータの世界への早期対応-将来確実に現れると思われる『ビッグデータの世界』においては、データをより多く蓄積して保有していることが強みとなる。このため、M2Mによるデータの収集蓄積を早く開始したい、あるいはグループ企業内の各事業部のデータを統合的に管理したいという要求が高まっている

上記のような外部要因を反映して、現在の『事業主体』側の動きは以下の2つの流れに向って推移している。

第一の流れは、これまで国内のみで小規模に展開してきたM2Mシステムを、グローバルを見据えた大規模展開へ発展させる、という動きである。M2Mの通信端末やキャリアの通信料金は年々低下しており、昔の契約のまま使い続けていると、かなり高めの料金が適用されているケースもある。このグローバルの移行を機に、通信端末や通信キャリアなどのサプライヤをもう一度選びなおすというケースが非常に多くなっている。この際にシステムインテグレータのワンストップソリューションが最終的に選ばれることが多いというのが現状である。

もうひとつのトレンドは、内部にいくつかの事業部を持つグループ企業において、これまで事業部ごとにバラバラに導入していたM2Mシステムを、グループとして統一しようという流れである。当然ながら、これは将来のビッグデータの世界を見据えて、データの蓄積が企業の財産となるという考え方が広まったことが背景にある。これまでとかく悪く言われがちだった、「日本型コングロマリット」のグループ企業であるが、いろいろな種類のデータを蓄積したものが有利になるというビッグデータの世界においては、グループ企業の価値は見直されるべきものである。
グループ企業においてグループ内を横断的にサポートする立場の情報システム部が、グループ全体のM2Mシステムを企画し、そのための基盤となるプラットフォームを構築しようとしているというのが、現状の流れとなっている。

日本のM2Mの『事業主体』となるユーザ企業は、このような流れの中でM2Mを導入する企業が飛躍的に増えてきているのである。

7.2 サプライヤ側のトレンド
M2Mのサプライヤは、目の前に大きな機会が広がっているが、同時に競争環境の激化にさらされている状況にある。
2011年ころに北米やヨーロッパの一部で始まったM2Mの需要の急拡大が、2013年終盤ごろに日本にも波及し、現在の日本のM2Mマーケットは急速な拡大傾向にある。当然ながらサプライヤにはビジネスを拡張する大きな機会が存在している。しかし、本稿で説明してきたように、ユーザ企業からの要望はグローバルを見据えたものに変わりつつあり、海外系のサプライヤが次々と上陸して競争環境が激化しているのが現状である。
組み込みモジュールについては、国内メーカの製品を通信キャリアが販売するというモデルはもはや主流ではなくなり、海外メーカのモジュールを日本の代理店が販売するというモデルが主流となった。通信端末については、海外の無線認証の取得が大きな障壁となり、今後、国内メーカは苦戦を強いられるだろう。サーバーアプリケーションは、ユーザ企業でのカスタマイズを可能とするThingWorksやAxedaなどのソリューションが普及しつつあるのに対して、国内ではシステムインテグレータをまたがって使用できるような汎用的なアプリケーション自体が存在していない。
そしてシステムインテグレータは、勝ち組と負け組の差が開きつつある。M2Mに関するシステムインテグレーションという事業は、他の分野に比べてソフトウェアの新規開発は少なく、むしろ広範囲に広がる諸問題をひとつひとつ解決していく「ノウハウ」がものをいう世界である。「多重下請け構造」や「人月による料金体系」はまったく通用せず、ノウハウを持った専任チームと、すでに動いているソフトウェアをどれだけ持てるか、という点が競争力の源泉となる世界ということだ。そのなかでは、すでに多くの実績を持ち、チームのノウハウも動いているソフトウェアも多く獲得している企業が、その後の案件の獲得でも有利となり、「勝ち組がますます勝っていく」ことになる。このような競争環境では、いくつかの企業だけが勝ち残ることができる。2014年の段階で、すでに実績のあるところとないところの差は広がってきていたが、2015年は決定的に選別が進むであろう。

数年前までは、M2Mは少数の専門的なサプライヤが特殊な用途をもったユーザに製品を提供するという、ニッチ産業の領域にあった。それが、今日ではIT産業全体の中でも最も注目される業態のひとつと目されるまで発展してきている。このサイトを見ている読者の方は、M2Mにすでにかかわっているか、あるいは関心を持っている方だと思われますが、M2Mに関する知識や経験を積むことは、大きな武器になると思います。読者の皆様の業界での活躍をお祈りしつつ、この章の終わりとさせていただきます。

次回からは、M2Mというシステムが生み出す価値や、それが企業活動にどのように生かされるかという視点での解説を行いたいと思います。次回もお楽しみに。

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