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M2M講座 第9回 – M2Mシステムが生み出す価値を考察する(1)

みなさん、こんにちは。M2M Masterです。
今回から、新しいシリーズとなりまして、M2Mのシステムが生み出す「情報の価値」や、その「情報の価値」が企業の活動においてどのように活用されていくかという、ちょっと理論めいた内容を記載していきたいと思います。
新シリーズ第1回目は、M2Mに限定されない内容になるのですが、情報通信システムにおいて情報の価値がどのように生み出されるか、またそれがどのように取り出されるかという基本的な原理を説明いたします。
前回の講座はこちらになります。
また、M2M講座の目次はこちらになります。

3.1. 情報通信システムが生み出す情報の価値について

3.1.1 『情報は移動すると価値が高まる』
「東京の渋谷の天気が晴れか雨か、気温は何℃か」や「目の前の自動販売機の缶コーヒーに売り切れのランプが付いている」などを例として、情報の価値を考えてみよう。朝のニュースで渋谷や汐留などのビルから撮影した映像が流れることが多いが、東京都内に住んでいる人間にとっては、その映像、特に空模様に関する映像はほとんど興味を引かないものである。しかし、それが、地方の都市、たとえば札幌や福岡などで、今日これから東京に出張しようとしている人にとってはどうだろうか。もし雨が土砂降りに降っているのであれば、大きめの傘を持っていこうと思うかもしれない。非常に寒そうであれば、着ていくコートを厚手のものに変えるかもしれない。つまり、東京から離れた場所で本日東京に出張しようとしている人、にとってはこの情報は価値が高い。
目の前の自動販売機で缶コーヒーが売り切れていたとしても、それを買おうとしていた人は買うのをあきらめるか、別の商品を買うか、という程度の影響しかなく、情報のに大きな価値が見出せるわけではないが、もしこの情報が、自動販売機を運用している会社の飲料補填のための配送センターに送られたらどうだろうか。配送センターでは、この自動販売機に缶コーヒーを補充することにより販売の機会ロスを減らすことができるのである。つまり、配送センターという場所では、自動販売機の缶コーヒーが売り切れているという情報は価値が高いのである。
つまり、情報というものは、どこにあっても同じ価値になるというものではなく、それを欲している人、必要としている場所に送られれば価値は高くなる、ということである。
これが『情報は移動すると価値が高まる』という法則の意味である。(どこに移動してもよいということではなくて、しかるべき場所に移動すれば、ということです。誤解なきよう。)

古来より、「のろし」で何かを伝達したり、チンギスカンが馬による情報伝達ルートを作ったり、というのも、情報をしかるべき場所に移動させて価値を高めるためであるし、現在の通信サービスも情報を移動させたことより価値を高め、その対価として通信料金を取っているわけで、ありとあらゆる情報を伝達するサービスはこの法則を実現するために作り出されてきたのである。
現在のインターネットの世界では、受け手にとって必要のない情報を勝手に送りつける人たちが横行しているので、この法則をつい忘れがちになる傾向はあるが、M2Mは基本的に企業の業務システムで使われるものであり、意図しない情報が送られることはありえない世界なので、この法則が純粋に生きている世界ということになる。

『情報は移動すると価値が高まる』を、情報の価値に関するひとつめの法則としたいと思う。

3.1.2 『情報を蓄積すると新たな価値が発生する』
一般的に多くの情報には鮮度があり、古くなると価値がなくなっていくものである。たとえば、ある日時の自動販売機内の各飲料の在庫の情報はいったん補充されてすべてが満タンになると「補充のための情報」としては意味のないものとなる。しかし、一日に各飲料がどれだけ売れたかという情報を、長期間にわたって蓄積していくとどうなるだろうか。その蓄積された情報は、その自動販売機でそれぞれの飲料がどれだけ購入されたかを示すデータとなり、飲料をより効率的に補填していく手法を検討することもできるし、売れない飲料をリストからはずして売れ筋の飲料を増やすことにより売り上げ増を図ることもできる。また、同じ会社が運営する複数の自動販売機の売り上げ情報を収集することも、価値を生み出す。どのような場所でより多くの売り上げが上がるかがわかるので、今後新規に自動販売機を設置する際に、より売り上げの上がりそうな場所を選ぶことが可能になるのだ。
これは、ひとつの自動販売機の1日だけのデータを取得しただけではほとんど価値がない情報なのであるが、同じ条件で取得された情報を時系列や空間の広がりの中で収集蓄積していくとそれが「蓄積された」ということにより価値を生み出すことになるのである。
ここに2つめの法則が導かれる。『同じ条件で取得された情報を、時系列的あるいは空間的な広がりの中で多数を収集し蓄積すると、その蓄積された情報はあたらな価値を生み出す。』短くいうと、この章の表題で書いた『情報を蓄積すると新たな価値が発生する』という文章になる。
これが2つ目の法則である。

3.1.3 『蓄積された情報は、他の種類の情報と組み合わせて分析されることにより、隠れていた価値を引き出すことができる』
収集し蓄積された情報すなわち「データ」は、それだけで何らかの傾向を示し、将来の予想をすることもある程度可能と思われるが、潜在的な情報の価値を引き出すためには、もう一段高度な分析が有効になる。それは、他のデータと突き合わせて分析するという手法である。たとえば自動販売機による各飲料の売り上げデータに対して、その周辺の場所の気温の履歴のデータと突き合わせて分析するとどうなるだろうか。気温によってどのような売れる飲料は当然違うはずで、この2つのデータを突き合わせることにより、気候と各飲料の売上げの相関関係が導くことができるはずである。とすると、天気予報にて1週間程度の気温の予想を得ることは容易なので、ここから各飲料が今後1週間でどの程度売れそうかという予想が可能になる。
あるいは、自動販売機がスタジアムの周辺に設置されているケースはどうだろうか。スタジアムで行われたイベントの参加人数は、自動販売機の売り上げに大きな影響があるはずで、それぞれのイベントの動員人数をデータ化して突き合わせることにより、売上との相関を求めることができるだろう。スタジアムのこれから先のイベントの予定は、簡単に知ることができるので、自動販売機における飲料の消費の予測もそこから求めることができるだろう。
このように、蓄積された情報を他の情報と突き合わせると、その情報だけでは得られなかった価値が現れるのである。この価値は、もともとこの情報の中に潜在はしていたのだが、その情報単体だけを扱っているだけでは取り出すことができなかった価値である。
もう少し一般的にいうと、蓄積され情報Aに対して、同じく蓄積された情報Bを突き合わせて分析することにより、情報Aの中から価値を取り出すことができるのであるが、情報Aと情報Bとの間の関係には、以下の2つの条件が必要になる
●条件1:情報が取得された時間的および空間的な条件が同等であること。つまり、気温と自動販売機の売り上げを関係付ける例でいうと、気温というのは自動販売機が置かれた地域の気温である必要があるし、時刻も実際に購買が行われた時刻の近辺でないと意味がないということである。また、スタジアムの動員人数と自動販売機の例でいうと、分析の対象となる自動販売機はスタジアムの近くにあるもののみである。つまり、突き合わせにおいては時間的および空間的な条件を合致させることができないデータは捨てて、合致する部分だけを抽出して突き合わせる必要があるということである。ま、当然ですね。
●条件2:AとBには、何らかの因果関係が存在する。これも当然だよね、と言いたいところであるが、気温が高いと冷たいジュースが売れるというような因果関係は誰でも思いつくが、このようなデータ分析における因果関係に関しては、人智では感知しようがない因果関係が発生している場合もあることに注意が必要である。矢野和男氏の著書である『データの見えざる手』という書籍で紹介されている、「店舗内のある場所に人が立っていると、そこからぜんぜん離れた場所の棚にある商品が売れるようになる」というような因果関係だ。ということで、情報Aと情報Bの間には因果関係がなければならないのではあるが、その因果関係は、人間によって予想可能なものもあるし、まったく人智の領域を超えた因果関係の場合もある、ということである。

さて、この内容を法則として定義しよう。『蓄積された情報は、他の情報と組み合わせて分析ことにより、隠れていた価値を引き出すことができる』

これで情報の価値という点に関して3つの法則が定義されたことになる。M2Mシステムが、それを利用する企業に対してどのように価値を提供するかという点に関していうと、この3つの法則でほぼほぼ説明できると言ってよい。
企業において、M2Mのシステムを新規に導入したり、あるいは導入済みのシステムの機能を拡張するというような検討を行なう際には、当然ながらその設備投資や費用に対してどのような効果があるかを明確に説明する必要がある。その際に、この3つの法則は、システムが価値を生み出す仕組みの根本原理としてご利用いただけるものと思っている。この考え方が、皆様の業務に対して何らかのご参考になれば幸いである。

次回は、M2Mのシステムが情報をどのように取扱い、それがどのように価値を提供するのかについて記載してします。次回をお楽しみに。

 

次回の講座は、こちらに掲載されました。

 

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