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M2M講座 第11回 – M2Mシステムが生み出す価値を考察する (3)

みなさん、こんにちは。M2M Masterです。
ちょっと間が空いてしまいましたが、M2Mのシステムが生み出す「情報の価値」や、その「情報の価値」が企業の活動における活用方法などを記載していくシリーズの第3回目をお送りいたします。

前回の講座はこちらになります。
また、M2M講座の目次はこちらになります。
前回は、M2Mのシステムを「情報をどのように取扱うものか」という観点で考察した。今回と次回において、M2Mのシステムが企業の活動にどのように利用されるものか、有名なコマツのKOMTRAXを例に考察したい。

3.3.コマツのKOMTRAXを分析する

3.3.1 書籍から読み取るKOMTRAX誕生と発展の経緯
コマツのKOMTRAXについては、非常に多くの書籍で取り上げられており、M2Mのシステムとして、あるいはM2Mで取得したデータの利用方法として本サイトの読者の方にとってはKOMTRAXはおなじみのシステムと言えるかもしれない。しかし、名前は知っているが実は詳細は知らないというかたもいらっしゃると思うので、まずはKOMTRAXがどのように誕生してどのように使われているかを、まとめたい。

(1)最初は盗難防止システムとして構想された。
KOMTRAXが構想された1999年頃は、建設用の重機を盗み、それを使って銀行のATMをまるごと盗み出すというやり方の犯罪事件が頻発していた。コマツは建設機械のメーカとして、自社の製品がこのような犯罪に使用されることを防ぐため、建設機械が不正に操作されたことを検知してアラームをだし、さらに遠隔で機能を停止するというような遠隔での盗難防止システムの導入を検討し始めた。この盗難防止用車両管理システムの構想がKOMTRAXの検討の発端となった。
(2)レンタル会社の助言で装置の稼働情報を収集することになる
コマツが盗難防止用の車両管理システムの構築を進めていく途上において、コマツにとっては販売時のパートナーとなるレンタル会社から、建設機械の稼働情報を遠隔で管理する機能の追加を提案された。稼働情報を管理する目的は、累積の稼働時間に応じた点検の実施や部品の交換を行うことを可能とするためである。従来は、一定期間にて点検や部品交換を行っていたが、これだとあまり使用頻度が高くない装置には過剰に整備が行われることになるし、逆に非常に使用頻度の高い装置では点検や部品交換を行う前に想定した稼働時間を超えてしまうことになる。それぞれの装置の累積の稼働時間を管理しておけば、それぞれの装置に適したタイミングで整備を行うことが可能になる。コマツはこの提案を取り入れ、盗難防止として構想された車両管理システムに稼働状態の管理の機能を取り入れることになった。
(3)修理作業の現場の用途に対応
この車両管理システムが実現したもうひとつの効果として、位置情報の利用が挙げられる。建設機械が稼働している建築現場は非常に広域になる場合もあり、さらに「住所」が細かく規定された場所ではない場合も多い。その中で故障した装置の修理に駆け付けたコマツの保守要員が実際の修理対象の装置を見つけるまでに非常に時間がかかることがあり、これが作業の効率を下げていた。遠隔で取得される位置情報を利用することにより、広い建設現場のなかですぐに対称の装置に行き着くことができるようになり、作業の効率化に寄与したという実績が記載されている。
(4)中国の建設不況で効果を発揮
この車両管理システムがまったく別の効果を生み出したのが、2004年に発生した中国の建設不況である。中国で利用されている建設機械の稼働がつぎつぎと停止していくことを感知したコマツは、いち早く不況の到来を認識することができ、生産工場の操業をストップして生産を抑制し、これにより在庫の拡大を防ぐことができた。つまり、建設機械の稼働情報を「景気の状況を感知して今後の売れ行きを予測する情報」として有効に活用し、これにより多くの企業に多大なダメージを与えた中国の建設不況を、最少の損失で乗り切ることができたのである。
(5)信用情報としての稼働状況の利用
コマツは、販売会社に対して建設機械の稼働情報を提供し、これにより販売会社は顧客の製品代金の不払いがあった場合に、建設機械の稼働が発生していること=収入があるはず、ということを証拠」として代金の回収を行なえるようにしている。代金を支払わない場合には遠隔で建設機械を停止する機能もあるようだが、実際に機能停止を実施することはめったになく、顧客は代金の支払いに応じるようだ。稼働状態をこのように使用することは、代金後払いで販売するさいの条件として契約で合意されているとのことである。すなわち、稼働状態をモニターするということは販売時の「信用情報」に代替するものとなっているということである。これも、」車両管理情報の使い方として、例示されている。
(6)衛星通信から携帯無線通信併用へ
コマツの車両管理システムは、当初は衛星通信回線を使って実現されていたようだ。建設機械が使用される場所は、山の中の工事現場であったり、鉱山であったりと携帯電話網のサービスエリア外であることも多く、当初は全面的に衛星回線を使っていたらしい。その後、携帯電話回線も併用するようになり、機種や設置場所により携帯電話通信と衛星通信を使い分けて使用しているようだ。
(7)標準装備として提供
このサービスは、当初は15万円ほどの追加費用を顧客から徴収するオプションサービスとして提供されたが、提供開始からあまり時間がたっていない時期にオプションではなく標準装備としての提供に変更している。2004年の中国の不況を検知できたときにはすでに標準装備としての提供が開始されていたようである。当時社長だった坂根氏は書籍の中で、「利益を削ってまで標準装備とすることを決断できるのは社長しかいない」とおっしゃっています。
(8)2台目はサービスで売れ
コマツのスローガンとして有名な言葉に「2台目はサービスで売れ」というものがある。これは、すでに1台目を購入してもらった顧客に対して、車両管理システムなどにより顧客満足度を高めることにより、2台目の購入時にもコマツを選んでもらうようにする、という意味である。ただ、稼働情報などを参考にして、顧客が買い増しの時期になっていることを感知して、そこに営業をかけるというような、「販売促進のための車両管理システムの利用」も盛んに行っているので、そちらの意味も含んでいるものと思われる。

以上が、書籍から読み取れるコマツKOMTRAXの誕生と発展の経緯である。次回は、KOMTRAXがどのような価値を生み出しているかをおさらいして、一般的にM2Mのシステムが企業にとってどのような価値を提供できるのかを説明していきたいと考えています。次回をお楽しみに。

次回の講座はこちらに掲載されました。

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