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M2M講座 第12回 – M2Mシステムが生み出す価値を考察する (4)

みなさん、こんにちは。M2M Masterです。
M2Mのシステムが生み出す「情報の価値」や、その「情報の価値」が企業の活動における活用方法などを記載していくシリーズの第4回目をお送りいたします。

 

前回の講座はこちらになります。
また、M2M講座の目次はこちらになります。
前回は、M2Mのシステムの例として有名なコマツのKOMTRAXがどのような経緯で開発され、どのような使われ方をしているのかを、主に前コマツ会長の坂根氏の書籍の内容から読み取ってみた。今回は、前回の内容を深掘りし、コマツが情報の価値をどのように創出し、どのように企業活動に利用しているかを考察したい。
3.3.2 KOMTRAXにおけるリアルタイムと蓄積情報の利用方法

KOMTRAXがもともとは盗難防止用のシステムとして構想されたということは前回記述したが、盗難防止はリアルタイム情報の利用の典型例である。また修理の際に位置情報を利用して、広い工事現場の中で目的の機器の場所に行き着くという例もあった。さらに、書籍では明記されていないが、故障時にアラームや診断内容の送信も当然行なわれているだろう。建設機械が使われる場所は、なかなか修理に行きにくい場所も多いので、故障時には通信機能を用いてできるだけ故障の内容を把握して、1回の訪問で修理が完了できるよう十分な準備を行なってから派遣しているはずである。

稼働情報を集計して耐久部品の交換を行なうという用途は、一つの個体の稼働時間を単純に集計していき累計の値をもとに部品交換の時期を定めるという方法であり、蓄積データの利用の中でも比較的単純な使い方と言える。

しかしKOMTRAXでは、稼働状態の「水平的な」集計から、その地域での景気の状況を割り出し、そこから建設機械の需要を推定して営業方針や生産量のコントロールなどに利用している。これを実現するためには、過去の稼働データの集計と、自社の売り上げデータ、さらには景気動向を示す各種の統計資料なども併せて突合せを行ない、予想手法を改善していく必要がある。このようなビッグデータ的な情報の利用手法を、ビッグデータという言葉が生まれるずっと前から、営々と気づきあげてきているのである。

すなわち、KOMTRAXでは、リアルタイム情報の利用を発端としてシステムが構想され、単純な集計的利用も初期から実現されていて、さらにシステムの運用開始後には複雑な統計処理による蓄積情報の利用も開始したのである。データ利用の手法はこのように進化するのだということを示す、模範的な発展のありかたと言ってよいだろう。
3.3.3 KOMTRAXにおける情報の企業内での利用
KOMTRAXの提供開始当初の用途は、盗難防止とメインテナンスでの利用であり、これは「アフターサービス」の範疇の中での利用と考えてよいだろう。特に収益への貢献という意味では、メインテナンスの効率化とメインテナンスによる顧客満足度の向上というのが、システム導入の効果として想定されていたに違いない。

しかしコマツは、このシステムから得られた情報を「営業」「生産」そして「開発」のために利用しだしている。メインテナンスをメインの目的として導入されたシステムであっても、積極的に他部門の業務のためにも利用する、この姿勢がKOMTRAXの用途を広げていったと言ってよいだろう。

そして、コマツでは、経営的な判断においてもKOMTRAXから得られるデータを非常に多くのケースで活用している。KOMTRAXは「遠隔メインテナンスシステム」であると同時に「営業支援システム」でもあり、さらに「経営支援システム」でもあるのだ。

つまりM2Mシステムの社内での利用という観点での発展の方向性として、「一部門の利用」から「他部門への価値の提供」へ発展し、さらに「会社経営を支援する情報提供システム」へと昇華するという道筋が模範的な発展の仕方なのだ。
3.3.4  KOMTRAXにおける情報の価値の外部への提供
KOMTRAXにおける情報の価値の利用者は、まずはコマツそのものであり、またコマツの建機を購入して利用する顧客ではあるだろう。しかしKOMTRAXにおいては情報の価値の利用者はこの2者にはとどまらない。もともとの構想段階にて建機レンタルの会社からのアドバイスで機能を追加していることでもわかるように、コマツはKOMTRAXで創出される情報の価値をサプライチェーン上の協力企業にも提供しているのである。レンタル会社はその一例であるし、また販売会社の売掛金の回収にKOMTRAXが利用されているが、この場合の販売会社というのは多くの場合、コマツから見ると外部の「代理店」ということになるだろう。また、コマツはKOMTRAXにより装置の耐久性に関する正確な情報を得ているのであるが、この情報は部品メーカなどにも提供されていて、部品の品質向上に寄与しているようである。

しかしもっと言うと、情報の価値の提供先はそれだけにはとどまらない。もともと盗難防止システムとしてKOMTRAXが構想されたときの最大の要因は、銀行のATMの盗難を減らすことであったのだ。建機そのものの盗難防止は手段であり、目的はATMの盗難防止であった。ATMの盗難を減らすことは、おそらくコマツの事業には直接的な影響はほとんどないと思われる。すなわち、主目的は「社会貢献」であったのだ。

すなわちKOMTRAXにおいては、社会貢献もサプライチェーン上の他企業の利用も、構想段階から視野に入っていたといえる。これはコマツの特異な例かとおもうが、一般の企業においては、まず自社内での利用→サプライチェーン上のパートナーへの価値提供という順に発展し、最後に社会貢献が議論されることになるかもしれない。しかし、情報の価値の提供を企業内部にとどめるのでなく、外部への提供も視野に入れることは、M2Mのシステムを発展させていく際には重要な視点となる。
以上が、コマツのKOMTRAXが情報の価値をどのように企業活動に利用しているかを3つの観点で分析した結果である。次回は、より一般的にM2Mが生み出す情報の価値を企業が利用する方法論を記載したいと考えています。次回をお楽しみに。

次回の講座はこちらに掲載されました。

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