m2m box

M2M/IoTの情報プラットフォーム

By

検針 遠隔地から一括指導 – 日経産業新聞 8月25日付け

また日経産業新聞紙面から。

本日付の日経産業新聞6面、「デジタルBiz&Tech」に興味深い記事を見つけました。

ウェアラブルを活用して水道やガスメーターの検診業務を効率的に請け負うという作業を、三井物産グループであるアイヴィジット社が始めたとのこと。

メーターの検針作業の効率化という命題をIoT的に解いた時の模範解答は、スマートメーターの採用ということで異論は無いと思います。人がいちいち見て回らなくていいですし、もっと踏み込めば各家庭ごとの電気の使用を細かく制御できたりするわけで、スマートシティ化に不可欠なテクノロジーと言っても過言ではないかもしれません。

一方、この新聞記事のニュースでは、メガネ型端末のウェアラブルというIoT的機器を導入して、それを検針員に装着し、ウェアラブルの通信機能を活用して熟練した指導員が遠隔地から複数の現場の社員を効率的に指導するという、なかなか面白い使い方を紹介しています。

乗り物の世界に例えると、スマートメーター化が自動車のハイブリッド化や電気化の推進であるのに対し、アイヴィジットの事例はカゴとか人力車を徹底的に改良、快適化しているようなものでしょうか。

人力車は人力車で結構だと思います。空気も汚れませんし、完全に人力ですから究極のエコですし。だけどそれは観光的に面白いから、文化的に貴重だから、あえて残すといった類のものですね。テクノロジーを使った検針の正しい進化はスマートメーター化です。検針員にウェアラブルを装着して、それを遠隔で指示するというのは、ある意味よくそんなこと思いついたな(というか、やろうと思ったな)というチカラ技。

日本におけるスマートメーターの普及はまだまだこれからですから、スマートメーターの普及までの繋ぎとしての苦肉の策なのでしょうけどね。記事によると、検針作業一件あたりのコストは200円からだそうです。200円「から」。すごく高いんですね。びっくりしました。その200円は、ウェアラブル導入して効率化した上での価格ですから、普段は一体幾らくらいなんでしょうか。

経営学の大家、ピーター・ドラッカーが言うには、正しい設問(正しく定義された解くべきイシュー)に対する間違った答えよりも、間違った設問に対する正しい答えが一番ヤバイといいます。作業員にウェアラブルを装着させてそれをベテランが遠隔から指示するというのは、人の手によるメンテナンスが必要な現場などでは確かに有効な手段です。この場合は正しく定義された解くべきイシュー(ベテラン作業員が足りないが、効率的に作業員のスキルを底上げしたい、とか)に対する正しい解と言えます。

一方アイヴィジットのウェアラブル導入による検針員の遠隔指導という解は、「スキルのない検針員をどう効率的に指導するか」という設問に対しては正しい解だと思いますが、そもそも検針を効率化するためには検針員をどうこうではなく、スマートメーター化するのが必須なわけで、つまり誤った問題設定をしてそれに正しい答えを提供しているので、非常にたちが悪いし滑稽ですらあります。

スマートメーター化が進まないのは、アイヴィジットの責任では全くないので、アイヴィジットは全然悪くありませんよ、念のため。むしろある意味、制約だらけの現時点で考えうる最も効率的な検針解決策を考えて実行に移しています。それをやらなきゃいけないという社会こそ、早く変えなければいけないですね。

結局IoTが本当に活きるためには、おかしな慣習とか規制とか、そういった環境から変えていかなければいけないんですね。

ではまた。

このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - 検針 遠隔地から一括指導 – 日経産業新聞 8月25日付け
Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark
Share on LinkedIn

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です