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M2M普及率のトップはアジア・中東・アフリカ地域―ボーダフォン調査 | IT Leaders

2013年から続いているボーダフォン社のM2M普及調査レポートが今年もリリースされました。

ご興味ある方は、多分→ここから←ダウンロードできますのでどうぞ。

情報源: M2M普及率のトップはアジア・中東・アフリカ地域―ボーダフォン調査 | IT Leaders

ボーダフォンという通信キャリアがリードする調査レポートであるにもかかわらず、特にモバイル通信を中心にしたM2Mに主眼を置くなどの偏った結果を導き出すようなレポートでは無いのは、好感が持てます。ボーダフォンに限らずですが、特に外資系企業が自費で出す市場レポートとかって、俺らスゲーぜ!みたいなちょうちん記事になりがちだったりしますが、これはちょっと違うようです。

さて肝心の中身ですが、大体こんな感じでしょうか。
1. M2Mの知名度、導入は順当に増加している
2. エネルギー、ユーティリティ、自動車、小売業界が普及を牽引
4. 導入のメリットNo1は、業務プロセスや生産性の改善であった
5. 普及率はAMEAP(アフリカ・中東・アジア太平洋地区)が35%でトップ
6. M2Mを使いこなせばこなすほど、そのメリットは大きくなる傾向にある
7. M2Mの成功には、戦略的、長期的コミットメント、熱意、組織をまたいだ協業が必要
8. 最大の普及阻害要因はやはりセキュリティの懸念

M2Mの年間成長率は、紹介する媒体によっても少し異なりますが、大体24%くらいと言われています。ボーダフォンの普及調査の数字も、大体同じような成長率を示しています。ただ気になったのは、昨年の調査では「来年以降家電が超来るぜ!」って息巻いていたのに、今年の調査では完全にその鳴りを潜めてしまっているところです。普及率は昨年とほぼ同じ。その辺りの説明が不十分なのはちょっと残念。

意外に思ったのは、AMEAP(アフリカ・中東・アジア太平洋地区)の普及率が35%で、アメリカ、欧州よりも高いとされていたこと。成長率が高いということであれば十分理解しますが、普及率が最も高いとは意外でした。とはいえ、アフリカ、中東、APACという非常に広い地域をひとまとめに括ってしまうのには大きな違和感を感じますね。アフリカとアジアじゃ地理的にも文化的にも、何もかも違いますし。このまとめ方、最近時々耳にしますが、あまりに乱暴すぎるのでやめたほうがいいと思うんですが、どうでしょうね?

あと一点、ちょっと違和感を感じるものがありました。細かいことですがM2Mの定義です。ボーダフォンによると

M2Mとは、マシン、デバイスまたはモノをインターネットに接続し、コミュニケーションできるインテリジェントなアセットに変えるものである。M2Mはモノのインターネットを可能にする手段である。

何これ?という感じです。デバイスにコミュニケーションの手段を実装したからといって必ずしもインテリジェントにはなりませんからね。それは単にデータを垂れ流すことができるようになったデバイスでしかありません。そこに機械学習とかディープラーニングのアルゴリズムを実装(エッジ側かクラウド側に)して初めて、「インテリジェントなアセット」になるんです。

そういう意味で、ボーダフォンによるM2Mの定義はお粗末というか思慮浅い。ボーダフォンに限らず多くの通信キャリアに共通して言えることなんですが、M2Mにおける彼らの役割は年々小さくなっています。参入者が圧倒的に増えてM2M全体のバリューチェーンを構成するプレイヤーが高度にフラグメント化している中で、通信キャリアは黙っていると土管化してしまいます。それが嫌なのでもう少し上のレイヤー(インテリジェンスの実装的なところなど)を狙うわけですが、やはり専門家ではない彼らがその分野で力を発揮するのは難しいというのが現状です。なので変な色気を出さずに、まじめに頑張って自分の領域である(レギュレーションに保護された)通信分野を徹底的に磨けばいいじゃないかと思うんですが、よほど金が余っているのかヒマなのか、あちこち口を挟んで失敗するというのが通信キャリアです。もはや伝統芸能と言ってもいいかもしれません。

繰り返しになりますが、モノがデータをサーバーに送ることができるようになっただけで、インテリジェントなアセットになるわけないじゃないですか。盛りすぎです。それからM2Mの本質は「デバイスをコミュニケーションできるインテリジェントなアセットに変える」という表層的なものではないんじゃないかと思います。「なぜ」M2Mが必要かということを鑑みる必要があります。

考え方は2つあって、一つは表層的なというか、技術的な要素を中心とした定義(それって何?という説明)。もう一つは文化的というかビジネス的な観点からの定義(それってなぜ?それからどうなるの?という説明)。ボーダフォンの定義から間違っているところを取り除くと、「M2Mとは、マシン、デバイスまたはモノをインターネットに接続し、コミュニケーションできるアセットに変えるものである。M2Mはモノのインターネットを可能にする手段である。」という、前者アプローチの定義です。これだと、へぇ…としか言えません。自称世界No1のM2Mサービス・プロバイダーがする定義とはとても思えませんね。

「なぜ」M2Mが必要かという点に着目すべきです。なぜ機械の稼働データをネット経由で集めたいのか。なぜ運ばれているモノの状態を集めたいのか。なぜ家電をインターネットに繋ぎたいのか。なぜなぜなぜ……。それは「サービス」を提供したいからです。モノを販売して終わりなのではなく、その後も、つまりモノのライフサイクル全体を通じて顧客との関係性を構築し、ものづくりからサービス指向へとビジネスモデルの変換を可能にするのがM2Mと言えます。したがって「M2Mとはモノをインターネットに繋ぎデータを可視化、分析することで、モノのライフサイクル全体を通じて顧客との新たな関係性を構築し、ビジネスのサービス化を実現させる手段」というのがM2Mの本質です。

細かいことですがと言っておきながら随分長くなってしまいましたが、上記以外の点はとてもよくまとまっていて、今のM2Mを知るにとても有益な資料だと思います。書き進めているうちに思いがけず通信事業者をディスるような内容が一部含まれてしまいました。ご気分を害された方、すみません。だけどまぁ大体こんな感じですよねw

ではまた。

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