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M2M/IoTの情報プラットフォーム

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またも木村岳史氏の記事を紹介します

先日、日経ITproに掲載された木村岳史氏の記事についての解説を書きましたが、木村氏はその後も非常に参考になる記事を書かれていますので、今回は木村氏の別の記事を紹介させていただきます。
(前回の木村氏に関する書き込みはこちら

さて、今回の記事は、こちらである。
『金融機関や製造業のダメIT部門と一緒にして申し訳ない!』
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/463805/092400053/

記事の内容を要約すると、
1. 木村氏はこれまで企業のIT部門の後進性を常々指摘してきたが、実際には流通サービス系の企業のIT部門にはそれは当てはまらず、非常に優秀である。
2. しかし以前は、流通サービス系の企業のIT部門は、常々批判の対象としている金融機関や製造業のIT部門よりもさらにレベルは低かった。
3. これが大きく変わったのは、店舗にPOSが導入されるようになってからである。POSシステムが生み出す大量のデータを短時間に処理して、有効なビジネス情報を提供するというミッションに対応するため、流通サービス系の企業のIT部門の能力は飛躍的に向上した。
4. しかし、金融機関や製造業のIT部門の上層部は、このような他の業界での先進事例に興味を示さない。
5. そのように進歩を拒絶するIT部門は、今後、経営陣から見捨てられる(⇒ここはいつもの提言)

というような内容である。

この記事には重要な示唆が含まれている。それは、流通サービス業界においてはPOSの導入が事業の構造を大きく変え、POSシステムから得られたデータをどのように活用するかが企業の競争力に大きく影響するようになったということである。そのため流通サービス業界では、IT部門の大改革が行われたと推測される。組織の改定のみならず、外部人材の投入も行われたはずだし、経営側もITの活用に関する意識も根本的に変わったはずである。

そしていま、製造業においてこれとまったく同じことが起こりつつある。
GEの提唱するIndustrial Internetの構想は、自社が販売した装置からデータを収集してサービスを向上するというものであるが、まさにPOSの情報を利用して店舗のサービスを向上するというところと本質が同じである。そして、GEはそのためにIT部門の組織を大改革し、外部からの人材も多く採用して「ソフトウェア企業になる」とまで言い切っているのである。
これは製造業において「POSを導入した後の流通サービス業と同じような競争条件」が現れることを意味している。ここで適切な施策を打つことができない企業は、競争から脱落するだろう。しかし現状の日本の製造業界では、まだM2Mを導入するかどうかで意思決定ができていない企業も多い。M2Mを導入しないというのは、店舗にPOSを導入しないということと同等であり、競争のスタートラインにつくことすらできないという状況になっても驚きはない。

流通サービス業、特にコンビニエンスストアのサービスは世界からも驚きの声を持って称賛されるほどレベルが高く、ITシステムの利用も非常に高度である。これは「日本の強み」である。現在発生しつつある製造業の「データ活用を競う競争」において、コンビニなどの流通業界のITシステムは、参考とすべき先行事例であるし、同時に経験と創造性をもった人材の供給源でもある。IoT/M2Mで日本の競争力を高めるにはどうすればよいか、という議論はよく目にするが、多くの場合「日本人の国民性を生かそう」とか「政府が旗振りすべき」のような観念論的な空虚な内容になってしまっている。現実のビジネスの世界における「日本の強み」を正確に理解してその生かし方を考えるという現実的な視点がより必要になってくるだろう。

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