m2m box

M2M/IoTの情報プラットフォーム

By

第15回 – M2Mシステムが生み出す価値を考察する (7)

みなさん、こんにちは。M2M Masterです。
M2Mのシステムが生み出す「情報の価値」や、その「情報の価値」が企業の活動における活用方法などを記載していくシリーズの第7回目をお送りいたします。
前回の講座はこちらになります。
また、M2M講座の目次はこちらになります。
前回までの講座にて、M2Mのシステムを用いることによりリアルタイム情報から価値を取り出すことが可能であるし、また蓄積情報からも価値を取り出すことが可能であることを説明した。この講座においては、これを「データ二毛作」と名づけ、M2Mシステムから価値をより多く取り出す方法として提唱することとしたい。
3.6 M2Mシステムで実現する「データ二毛作」
3.6.1「データ二毛作」の基本コンセプト
 これまでの口座で、ひとつのM2Mシステムから得られるデータの利用方法として、以下の2つがあることを説明してきた。
A: リアルタイムな情報の利用によるオペレーションの効率化や人員配置の最適化(無人化を含む)という、システムの稼働開始からすぐに直接的に得られる価値
B: 複数の機体から継続的にデータを蓄積し、その蓄積されたデータの分析により生み出される価値

 上記Aの価値は、システム導入からすぐに価値を生み出し始めるが、その価値を生かせる部署はオペレーションに実際に関連する部署に限定される。一方、Bのほうの価値は、ある程度データが蓄積するための時間が経過した後から価値を生み出し始めるが、実際にその価値を利用できる部門は、オペレーションに直接関与する部署に限定されず、設計・生産やさらに営業のような部署でも利用できるし、経営者が経営判断のために利用することも可能である。
 これをM2Mシステムを導入する企業の視点からみると、ひとつのシステムを導入により、まずオペレーションを担う部署に直接的な効果が現れ、その後から社内の複数の部署で利用可能な有用な情報を提供し始めるということになる。すなわちM2Mシステムの利用においては、価値の「収穫」の時期が二回あるということであり、これを本稿では「データ二毛作」と呼ぶこととしたい。
3.6.2 「データ二毛作」と企業の意思決定
「データ二毛作」という名称を与えられた、M2Mシステムの価値の収穫のタイミングは二回ある、というコンセプトはどのようなときに使うべきかというと、それは企業がM2Mシステムの導入に関する意思決定を行なうときである。
現在の多くの企業におけるM2Mシステムの導入の検討において非常に大きな障壁となっているものが、システム導入によるROI(=Return on Investiment)を明確に数値化することが難しく、経営陣が導入の判断をすることができないということである。特にM2Mシステムの導入の目的を、メインテナンスの効率化や対応速度の向上による顧客満足度の向上ととらえて導入を検討している場合、費用対効果の数値としてはそれほど多くのプラスとならない場合が多いし、これだけではマイナスになってしなう場合もある。これにより、M2Mはやったほうがよいと思っていながら実際の導入の意思決定ができないという企業が非常に多く存在しているのである。
「データ二毛作」というコンセプト(あ、べつにこの言葉を使わなくてもよいですが)、あるいはM2Mシステムは直接的なオペレーションの向上という効果のほかにあとからビッグデータの解析により別の価値が生み出されるということが、経営陣にも知られた「コモンセンス」となっていけば、企画段階から社内の多くの部署を巻き込んで、導入へのポジティブな雰囲気を構成することが可能になると思われるし、実際に判断を行なう経営陣も直接的なオペレーション向上によるROIだけではなく、その背後に潜むビッグデータの価値までも見越して経営判断ができるようになると期待される。
 実際に私はM2Mシステムを提案する立場にいるものとして、担当者レベルでは完全に導入に関する方向性が決まっていながら、経営者の承認を得ようとする時点で承認が得られずに止まってしまうというケースをいくつも経験している。その理由の多くがROIが不明確とか十分でないという理由であったと聞いている。
逆に海外の企業は、M2Mシステムによって得られるビッグデータが後から大きな価値を生み出すということをわかっていて意思決定を行なうことができているように感じている。
この日本企業と海外企業の意思決定の速度の差は、私が見ているところでは日本の競争力の維持という観点において、かなり危険な領域に達しているように感じられる。今回、二毛作というベタベタに日本的な単語を使ってひとつのコンセプトを表す用語を作ってみたのは、そのような日本企業の問題点の改善に対して少しでも貢献できればと考えた次第である。日本企業がこのような技術の導入を遅れずに実施していき、海外企業との競争力を維持していくことを期待して、今回の講座の締めとしたい。
次回の講座の内容はまだ未定ですが、最近インダストリー4.0などの言葉で顕在化している工場のIoT化と従来型のM2Mとの関係について記載しようかと思っています。次回もお楽しみに。
このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - 第15回 – M2Mシステムが生み出す価値を考察する (7)
Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark
Share on LinkedIn

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です