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IoTの普及にあと10年かかるワケ | Computerworld

IoT盛り上がっている一方で懐疑的な見方もあります。
例えば以前本ブログでは「IoTはバブルである」という、Appleの共同創業者のスティーブ・ウォズニアック氏の意見を紹介したこともあります。

スマートホームやコネクテッド・カーなどのように、健全に成長している分野がある反面、使い物になりそうもないサービスも多々有り、玉石混交と言える今は、正にバブルフェーズであるのかもしれません。

今はある意味IoT黎明期と言えるでしょう。そんな折IoTブームに水を指すような記事の紹介です。

ソース: Why the Internet of Things needs another 10 years | Computerworld

結構ボリュームのある記事なんですが、とてもいい内容でしたので全文訳しましたから載せときますね。ただ長いのでポイントを以下にまとめておきます。

ポイント
・これまでの市場予測はことごとく的外れである
・「IoT」を十把一絡げに論じるべきではない
・各分野、アプリケーション毎に成熟度や成長スピードは異なる
・モバイル回線や衛星回線はIoTが爆発的に普及するには高すぎる
・様々な種類のコネクティビティが必要である
・全般的に言って、現在の様々なコネクティビティは「帯に短したすきに長し」
・IoTには本当に様々な技術やビジネスモデルが必要

といったような感じ。「コネクティビティ」を中心に論じられています。確かにデータをあっちからこっちに運ばなきゃいけませんから、コネクティビティは重要ですね。しかし現在のIoTにおいてはそこがボトルネックになっているという見解。確かにそういう点はありますね。現在のモバイル回線はIoTのように超多数のデバイスから少量のデータを頻繁に吐き出すといったものを前提に設計されているわけではありませんから。カバレージはいいんですが、そのキャパシティと価格がネック。一方ローカルネットワークなどでは価格やアーキテクチャはいいけど、カバレージに当然問題があります。その辺がすっきり解決できれば、間違いなくものすごい成長します。そうでなくても成長しようとしている分野ですからね。

そんなわけで、以下翻訳になりますので、どうぞお楽しみ下さい。

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筆者は2004年に「IoTを取り巻くHype」という記事を上梓しました。当時の産業アナリスト達によると5年以内(つまり2009年頃)には何十億ものモノがインターネットに繋がるだろうと予測しました。まだそんなこと起きていませんね。

そして今。またそのHypeが戻ってきました。今度は500億ものモノが2010年にはインターネットに繋がると。でもその予測は2020年に延期です。

ただ誤解しないで欲しいんですが、IoTは非常に魅力的な成長分野であることは間違いありません。ただ、IoTという概念は非常に多くの分野にまたがるもので、それぞれがそれぞれのペースで成長しているんです。例えばアセットトラッキングとかスマートメーターなんかはそれなりに普及していますし、スマートホームやコネクテッド・カーなんかも成長著しい分野です。そして我々は服にセンサーが埋め込まれて、自動的にヘルスチェックして最適なタイミングで健康問題に対処できる日を待ち望んでいます。

人類はデータの海から価値を見出す事を学ぶ必要があります。「Rethinking the Internet of Things」(m2mbox: amazonでKindle版無料で入手できます!)

で述べられているように、今では十分な風力、風向、気圧、そして温度といった、各センサーを設置できれば、トルネードがいつ来るのか正確に予測できます。しかしIoTには分からないことがまだまだ多すぎます。

過去10年で確かに大きな進歩はありました。センサーの低価格化、どこからでもアクセスできるクラウドサービス、そしてビッグデータ解析。IoTアプリケーションが普及するには、ユビキタス性、つまり安いコネクティビティが欠如しているのです。

現在のワイヤレス通信は矛盾に満ちています。モバイルや衛星の強みはそのカバレージですが、IoT向けに設計されてはいません。IoT用に新たなネットワークがイチからデザインされてはいますが、未だカバレージは十分とは言えません。

ワークアラウンドの一つとしては、やはり既存のモバイル回線、衛星回線をIoTに利用するものです。北米ではAeris Communications社とKore社は企業向けにグローバルカバレッジとモバイルオペレーターを提供しています。両社は世界中のモバイルオペレーターからデータサービスをバルクで調達しているため、顧客自身で各国の回線やサービルを個別に契約する必要がありません。Aeris、あるいはKoreとだけ契約すれば全て片付きます。Aeris社のプラットフォームでは2G、3G、4G接続およびデバイス管理(プロビジョニングやビリング)、センサーデータの分析などを提供します。Kore社はモバイル回線と衛星回線を統合管理するサービス、PRiSMPro プラットフォームを180カ国以上で展開しています。

モバイル回線や衛星回線は、ミッションクリティカルな機器・装置を監視するには向いています。そういったクリティカルな装置の中には、複数のセンサーやアクチュエーターを実装しているものもあります。それらは通常、ローカルサイトでZigBee、Bluetooth、Wi-Fiなどといった短距離無線でネットワーク化し、ゲートウェイなどに集約し、モバイル回線あるいは衛星回線でデータをクラウドに上げるというのが常套手段です。

ところが比較的小規模で限定的なエリア等で、シンプルかつ安価なデバイスが相互に通信を行うというアプリケーションは多くあります。例えば街灯、消火栓、信号機などが一例として挙げられるでしょうか。農家が土壌の水分含有量などをモニターするケースもあるでしょう。そういった装置、デバイスは短距離無線を使うには拡散しすぎているし、衛星やモバイル回線を使うには数が多すぎるしコスト感も合いません。

幸いにも、LPWA (Low Power Wide Area) というネットワークはそういったIoTアプリケーションに特化してデザインされています。このネットワークで大体街一つを、モバイル回線に比べると遥かに安いコストでカバーできます。さらに多数のデバイスから発せられる小さなデータを捌くのに最適化されています。

サンディエゴの Ingenu社は機械同士を繋ぐことに特化したコネクティビティを提供しています。2.4GHz帯を利用した認証不要のデバイスを使い、RPMA (Random Phase Multiple Access) という独自の技術で広域通信を実現しています。RPMAのアクセスポイントは大体80平方km〜500平方kmをカバーすることが可能です。しかも条件によるところはありますが、バッテリー交換無しで1年以上稼働させることもできます。Ingenu社によると各デバイスの月あたりのデータ量は3MB以下に抑えることもできるといいます。また38のプライベートネットワークが20カ国で稼働中であるということです。オペレーター自身で自社のネットワークを作り上げ、同時にビジネスモデルも構築するという事例です。

フランスの「IoTバレー」をベースとするSigfox社は異なるアプローチをとっています。同社は「シンプル、経済的かつ長距離双方向通信を省エネで」提供し、IoTの壁を低くすることを売りにしています。1GHz以下(米国ではライセンス不要の900MHz帯)の帯域を使うUNB (Ultra Narrow Band)技術を採用し、半径数kmから50km程度のエリアをカバーするベースステーションを販売しています。オペレーターはSigfoxとレベニューシェア(割合はほんの少し)する必要があり、現在12カ国で700万回線の利用があるといいます。Sigfoxから生まれたクリエーティブなソリューションには、「スマートボタン」と呼ばれるデバイス(ホテルやレストランからそのボタンを押すだけでタクシーが呼べるというもの)や、消火栓が開けられたら通知するといったものがあります。

カリフォルニアのサンノゼにある Silver Spring Networks社は、1Mbpsまでの通信速度をサポートする 802.11.15.4gベースのネットワークアーキテクチャ (いわゆるWi-SUNです)を採用しています。主にユーティリティ系のネットワークやスマートシティで活用されています。同社CEOの Mike Bell 氏はそれらを、「Internet of Critical Things」と呼びます。メッシュネットワークの利点はカバーエリアを少し拡大するといった事が容易であること。モバイルネットワークであれば、基地局の設置が必要だったりと、かなり大きな投資になります。同社によれば、2200万のデバイスが既に繋がっているということです。主要顧客はグラスゴー市、Scotland and Oklahoe Gas & electric。

IoTが巨大市場になるという予測を受け、モバイル事業者は今4Gと5GにおけるIoTの標準化を急いでいます。IoT向けには異なるネットワークアーキテクチャが必要であるという前提に対する業界の答えはネットワークとプロトコルを寄せ集め、デバイスを改良すること。つまりより小さい帯域と少ないエネルギー消費を実現するLTE-Mです。ただしIoTの各デバイスが生み出すレベニュー(ARPU)は非常に小さいため、高額なインフラ投資をするモチベーションは決して強いとは言えません。

同様に、5GにおけるIoTの役割に対して懐疑的になる理由もいくつかあります。モバイル業界はこれまで、大容量、少ない遅延、高速というインフラを整備するので手一杯と言えます。IoT向けに異なるネットワークを構築する意味って本当にあるの?という疑問は、どこかできっと出てくるでしょう。

IoTには様々な技術やビジネスモデルが必要です。色んな接続オプションで実際のエンドユーザーとのユースケースが作られるのが望ましい姿です。IoT市場が成長するには引き続きまだ時間が必要ですから。
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ではまた。

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